春は迷路

 

 

 

 

5月も10日だ。

なのにこの寒さはなんなのか

 

 

 

4月1日は私の誕生日で、

私は逃げも隠れも出来ないアラサーになった。

たくさんの人が祝ってくれてとても嬉しかったし、

 

『来年の誕生日までにこのままじゃ何も変わらない』

 

というフレーズのある宇多田ヒカルの曲(たぶんKiss&Cry)に

怯えずに済んだ一年だったことを誇りに思った。

 

 

 

 

東京の桜はこういう時すごく優しく見える。

よく頑張ったねって言ってくれてるような気がする。

要は受け手がどう思いたいかで、

東京の桜はただ静かに咲いて、春の嵐に散るのを待っているだけなんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

4月中はずっとパソコンの画面に向かっている、はずだった。

印刷費の工面がどうにもならず、家庭教師のアルバイトを始めたのだ。

 

 

 

漫画を介さずに社会と触れ合うのが不可能な私にとって

それは間違いなく苦行だった。

おそらく普通の人間が感じる疲れの10倍をひきずって

最寄駅に着き、友人と夕飯をとるのがやっとの癒しだった。

 

 

 

 

どんなに申し分のない仕事内容、報酬でも、

私は『毎日同じ所に行き、同じ人間に会う』ことが、私にはできない。

高校まではなんとか通ったが、大学になって突然発症した。

 

これはおそらく発達障害と呼ばれるものだろうし、

3.11以降パニック障害さえ患ってしまった。

そして、以前と比べ処方される量は減ったが、

鬱病の薬を飲み始めて8年になる。

 

 

 

 

こんなはずではなかった。と、何度思ったことか。

一日たりとも、大学をきちんと出て、

同期のように誰もが知っている名前の会社へ

(満員電車で!)通勤し、

月収をもらって、同僚と仕事の愚痴を言い、

成果が社会のひとつとなったり

あわよくばボーナスとか、もらってみたいと

思わない日はない。一日たりともだ。

 

 

 

 

 

 

それでも、私は、

自分が心からやりたいと思うことを

見つけられたのを最上の幸福に思っているし

 

自分の状態を判断し

毎月心療内科に通い、医者と会話し、

適切な服薬ができることを

誇りに思っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな日々を暮らしながら、

GWのイベントのために本を2冊つくった。

 

1冊は艦これの漫画、もう1冊は『別冊LOVE』という合同誌だ。

 

 

 

 

 

『別冊LOVE』について話をしようと思う。

 

『別冊LOVE』というタイトルは、

私が特に『LOVE』だと思う友人たちの別の側面、

要はものづくりをする側面を見たい、という気持ちから

つけました。

 

(ここでしっかり言っておきたいのは、

 『別冊LOVE』に呼ばれてない私はLOVEじゃないの!?と

 思ってしまう私の友人がいるかもしれないということだ。

 それは違う。本当は友人全員だって呼びたかった。

 要は印刷費の問題なので気にしないでほしい)

 

 

メンバーには普段から作品を作る人もそうでない人もいる。

その人たちひとりひとりの面白さ、代えのきかない素晴らしさを

ひとつの雑誌にしてこの世に放り投げたかった。

たくさんの花を束ねたブーケトスのようなイメージ。

 

色とりどりにも程がある。かたちも香りもまったく違う。

でもそれを束ねられたら、それは素敵なブーケになるだろうし、

受け取ってくださった人は、次は自分が!と思うかもしれない。

 

 

そんな希望に満ちた一冊を作りたかった。

作業の量やスケジュールは修羅場そのものだったけど、

第二弾になった今回のクオリティは

前回をはるかに上回っていると思う。

 

昨年のメンバーのうちほとんどが続投しているが、

彼らの作ってきたものを見て、

誰ひとりボンヤリと1年を過ごしたわけではないことを悟って

身が引き締まった。

 

新しく依頼をしたメンバーについてはもう

結果を見て欲しい。すごいから。

 

 

委託もしてるからまだ持ってない人はぜひ読んで

このブーケを味わってほしいです。

http://shop.comiczin.jp/products/list.php?category_id=6770

 

 

 

 

 

 

 

JOY